2007 Fiscal Year Annual Research Report
最適化変分モンテカルロ法による超伝導-絶縁体転移と量子流体相の研究
Project/Area Number |
18043004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60212304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 憲司 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50225504)
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Keywords | モット転移 / ダブロン-ホロン相関 / 反強磁性 / d波 / ハバードモデル / 銅酸化物 / 高温超伝導 / 変分モンテカルロ法 |
Research Abstract |
銅酸化物超伝導体の未ドープの母物質の性質を知ることは、高温超伝導の機構を考える上で極めて重要である。本研究では、電子相関強度U/tについて弱相関、強相関の両側から取り扱うことができるハバードモデルを考えた。多くの研究では相関強度のいずれかの極限(U/t=0,∞)から理論を展開するが、本研究ではあらゆるU/tの値に対して、局所相関効果を厳密に扱うことが可能な変分モンテカルロ法を用いて、U/t(>0)のあらゆる値に対して、基底状態の様々な性質を議論し、このモデルと金属絶縁体転移や高温超伝導の機構を総合的に考えて行く。 初年度は、格子の対角方向へのホッピングt'が入った正方格子で、ハーフフィリングのハバードモデルに対するd波の一重項状態の性質を中心に考えた。変分試行関数としてd波対称性を持つBCS関数に同一サイト相関因子とダブロン-ホロン間の束縛因子を最近接と次近接サイトまで取り入れた4体相関因子を導入して計算を行った。反強磁性秩序を排除した場合は、これによりバンド幅程度の相互作用強度で、金属絶縁体転移が実際に起こることと、定性的にも正しいモット転移の記述ができることを示した。反強磁性は独立な波動関数を用いて考えた。U-t'のモデルパラメーター空間内でフラストレーション|t'/t|が小さな場合は、反強磁性秩序相が大きな領域を占めるが、或る程度大きな場合は非磁性になる。2年目にはd波一重項状態を用いてドープした場合の超伝導の性質を調べた。ハーフフィリングでのモット転移は、ドープすると超伝導状態のクロスオーバーへと変化し、弱相関側では、相互作用エネルギーの減少に誘導されたBCS的超伝導が起こり、バンド幅より強い相互作用領域では、運動エネルギーの減少が引き金となる強相関型超伝導になる。超伝導と反強磁性が共存する状態の研究が、残された重要な課題である。
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