2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18043016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 浩章 京都大学, 理学研究科, 助手 (90311737)
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Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 超伝導 |
Research Abstract |
これまで我々は、摂動論的手法に基づいて、様々な強相関電子系超伝導体を研究してきた。この方法を超伝導状態に拡張することは容易である。しかし、これまで、超伝導状態における微視的な計算は、揺らぎ交換(FLEX)近似によるスピン一重項状態についての研究しか行なわれていない。この近似法は反強磁性臨界点付近の正常状態、超伝導状態の振る舞いを記述することに成功したが、Sr2RuO4のスピン三重項状態を正しく議論することはできなかった。これは、FLEX近似が特定の揺らぎを増強し、その揺らぎを媒介として超伝導を引き起こすのに対して、Sr2RuO4では、むしろ顕著な磁気揺らぎを持たないγバンドが超伝導を引き起こす原因であったからである。また、FLEX近似では対破壊効果が大きくなりすぎるのも原因の一端である。こうして、ここではスピン三重項状態を研究するのに有利な3次摂動による方法を超伝導状態に拡張して、Sr2RuO4の超伝導状態を研究した。このときスピン軌道相互作用も微視的に取り入れ、常磁性帯磁率の振る舞いや、dベクトルに関する内部自由度に関連した物理について、詳しく調べた。最終的には、この微視的な理論を磁場中超伝導に拡張し、ナイトシフトそのものを具体的に評価することを目指している。
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