2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18043017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 則雄 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | 強相関電子系 / フラストレーション / 量子効果 / 低次元 / 量子液体 |
Research Abstract |
本研究は、フラストレーション効果の下で強相関電子系が生み出す多様な量子相の性質とその起源を解明し、さらには得られた成果を3Heや光格子中の相関フェルミ系にも応用することを目的としている。本年度は、フラストレート系としてカゴメ格子電子系と光格子中のフェルミ多体系の研究を行った。 ○カゴメ格子電子系での金属絶縁体転移と異常な準粒子 フラストレーションの強い系としてカゴメ格子電子系が注目を集めている。セル型の動的クラスタ近似を用いて、カゴメ格子におけるモット転移の研究を行った。有限温度における金属・絶縁体転移近傍の金属相に異常な準粒子状態が出現することを見出した。温度低下により発達した局在スピンがフラストレーションを誘起し、この不安定性を回避するため遍歴性が回復し、低温で異常な準粒子を形成する。この振る舞いが、3角格子などのフラストレート系に共通のものであることを指摘した。 ○光格子中の冷却フェルミ粒子の相関効果 相関粒子系の新たな研究分野として急速に研究が進展している光格子中の冷却フェルミ原子系を調べた。閉じ込めポテンシャルによる非一様性を含んだ相関効果を扱うため、変分モンテカルロ法に統計的手法を援用し、基底状態の性質を明らかにした。1次元フェルミ系では量子モンテカルロなどの従来の結果を再現し、2次元フェルミ系に対しては、本研究によって初めて金属-絶縁体共存相の記述がなされた。今度、超流動層や磁気秩序相に研究を拡張する予定である。
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Research Products
(6 results)