2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18043017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 則雄 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | 強相関電子系 / フラストレーション / 量子効果 / 低次元 / 量子液体 |
Research Abstract |
本研究は、フラストレーション効果の下で強相関電子系が生み出す多様な量子相の性質とその起源を解明し、さらには得られた成果を3Heや光格子中の相関フェルミ系にも応用することを目的としている。本年度は、フラストレート系として3角格子電子系と光格子中のフェルミ多体系の研究を行った。 ○異方的3角格子電子系でのモット転移 強いフラストレーションを持つ系として3角格子電子系が注目を集めている。動的クラスタ近似を用いて、異方的3角格子における金属絶縁体転移の研究を行った。有限温度におけるモット転移に、温度降下に伴う絶縁相/金属/絶縁相へ移り変わるリエントラントな振る舞いを見出した。温度低下により発達した局在スピンがフラストレーションを誘起し、この不安定性を回避するため遍歴性が回復し、さらに低温では反強磁性揺らぎが発達するために、上記の特徴が現れることを明らかにした。このような振る舞いは、実験的に3角格子構造を持つ有機導体で観測されており、ここでの結果はこの実験をうまく説明することが分かった。 ○光格子中における量子多体効果:冷却フェルミ粒子系 光格子中の冷却フェルミ原子系に現れる量子多体効果を調べため、斥力および引力をもつハバード模型を取り上げた。閉じ込めポテンシャルによる非一様性を含んだ相関効果を扱うため、変分モンテカルロ法を用いて基底状態の性質を明らかにした。特に、斥力相互作用によって異方的な超流動状態が出現するかどうかという問題を調べた。準1次元フェルミ系に関して、d波超流動が現れうることを示した。さらに、動的平均場理論を用いることで引力相互作用の系を調べた。その結果、超流動と密度波が共存する超固体状態が実現しうることを示した。
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Research Products
(4 results)