2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18043018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30153018)
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Keywords | ヘリウム3 / 3角格子 / ハイゼンベルグモデル / ボルテックス / トポロジカル転移 / モンテカルロシミュレーション / 多体交換相互作用 |
Research Abstract |
ヘリウム3の核スピンは、3角格子上のS=1/2ハイゼンベルグ磁性体を形成し、その秩序化の様相を理解することが最近の重要なトピックになっている。ヘリウムの核スピン系では、多体交換相互作用が重要な役割を果たしていると思われ、3角格子構造に伴うフラストレーション効果とS=1/2性に伴う量子効果と相まって、この系の磁気秩序化を大変興味深いものにしている。 平成18年度は、2次元3角格子ハイゼンベルグ反強磁性体の磁気秩序・ボルテックス秩序に関し、古典ハイゼンベルグモデルの範囲で、単純な最近接反強磁性相互作用に加えて、ヘリウム3単分子膜には存在すると考えられる多体交換相互作用が存在するモデルをモンテカルロシミュレーションで扱った。まず最も単純な双2次の4体交換相互作用から研究を開始した。これらはヘリウム3膜に限らず、最近注目されている3角格子磁性体NiGa_2Se_4に対する有効モデルにもなっていると期待される。反強磁性2次元3角格子ハイゼンベルグモデルは、以前の研究結果により、有限温度で特異なボルテックス(Z_2ボルテックス)の対解離に伴うトポロジカル相転移を示すことが示唆されている。今回の多体交換相互作用を加えたモデルに関しても、渦度モヂュラス等を測定することによって、系のボルテックス自由度およびそれが引き起こすトポロジカル転移に特に着目した解析を行った。得られたデータを、2体交換相互作用のみのモデルに基づくシミュレーション結果と比較しつつ、これら多体交換相互作用がボルテックス秩序化に及ぼす効果を検討した。その結果、双2次交換相互作用が大きくなると、系には新しいタイプのボルテックスが現れ、これらのボルテックスが有限温度でのトポロジカル転移を引き起こすことが判明した。
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Research Products
(5 results)