2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18043021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 賢介 Kyushu University, 理学研究院, 助教 (70165017)
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Keywords | HCN / ヘリウムナノクラスター / 超流動 / 分子間力 / ミリ波分光 / 内部回転遷移 / 分子間振動 / ファンデルワールスカ |
Research Abstract |
平成19年度は冷却超音速ジェットノズルを製作し、HCNを含むHeナノクラスターの分子間振動遷移の観測した。また観測されたスペクトルの帰属解析に関する理論的研究を行った。 多量体クラスターを感度良く検出するため冷却超音速ジェットノズルを設計・製作した。これにより0.4Kまでクラスターの回転温度を冷却できる。高感度測定のためミリ波共振器を開発し、周波数掃引システムを製作した。40atmの高背圧をかけ、冷却超音速ジェットノズルを用いてHe多量体クラスターを生成し(He)_2-HCNおよび(He)_3-HCNのHCN内部回転遷移と思われる吸収を100GHz領域で観測し、吸収強度が回転温度の冷却によりどう変化するか観測した。 観測されたHCN内部回転遷移のパターンから、(He)_2-HCNはHe-HCN-Heと付いた構造をとっていると考えられる。この構造をとりHCNがほぼ自由回転している場合には平均的に無極性であり純回転遷移は観測されない。He-HCN-HeではHCNが中心に近い位置にあるため錯体軸にHCNを配向させるコリオリ力の大きさはHe-HCNの1/10程度である。このためHe-HCNと比べさらに自由回転に近くなり、内部回転スペクトルのコリオリ相互作用による微細構造分裂はHe-HCNの1/10程度になると予想される。観測された(He)_2-HCNの内部回転遷移と思われる吸収の微細構造分裂はほぼこの程度である。 理論的な解明のため、まずHe-HCNの分子間ポテンシャルを制度良く決定した。このポテンシャルは過去観測されている内部回転遷移や分子間振動遷移周波数を実験制度で再現する。このポテンシャルと過去報告されているHe_2のポテンシャルを用いてHe-HCN-Heの分子間ポテンシャルを2体力の和として近似して検討したところ、He-HCN-HeのHCNの内部回転の障壁はHe-HCNにおける内部回転障壁の半分程度であることがわかった。さらに2個のHeの間をHCNが通り抜ける分子間角振動のポテンシャルは、ほぼ井戸型ポテンシャルに近い形をしており、HCNが2個のHeの間をすり抜ける大振幅振動を持つことがわかった。冷却ノズルを用いて得られたパターンを用いてさらに詳細な帰属解析を進めている。
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