2006 Fiscal Year Annual Research Report
高品質銅酸化物超伝導単結晶の育成と電荷・スピンストライプ相の強磁場コントロール
Project/Area Number |
18044003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 洋二 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (70134038)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / ストライプ秩序 / 磁場効果 / 不純物効果 / 不均質超伝導 / 低次元量子スピン系 / 熱伝導 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 |
Research Abstract |
1.La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4における電荷・スピンストライプ相に対する磁場と不純物の効果 La-214系高温超伝導体における電荷とスピンのストライプ秩序に対する磁場と不純物の効果を調べるために、La_<2-x>Ba_xCuO_4とLa_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4におけるCuO_2面内の電気抵抗率ρ_<ab>の測定を行った。様々のxとyの値を持つ試料について磁場の強さを変化させて測定した結果、(1)磁場の印加によるρ_<ab>の増大の大きさは、ゼロ磁場での電荷ストライプ秩序の安定性と密接な関連がある、また、(ii)La-214系高温超伝導体において、CuO_2面に垂直な磁場と非磁性不純物Znはともに電荷ストライプ秩序を安定化させる効果を持つ、との結論を得た。 2.La_<2-x>Sr_xCuO_4における超伝導の不均質性のバルクプローブによる検証 高温超伝導体における超伝導の不均質性を検証するために、La_<2-x>Sr_xCuO_4のアンダードープ領域から最適ドープ領域において、磁場中冷却下での磁化率と比熱の測定を行った。その結果、La_<2-x>Sr_xCuO_4の超伝導が出現する幅広いSr濃度領域において、試料中で超伝導領域と非超伝導領域に相分離している可能性が極めて高いと結論した。 3.低次元量子スピン系Pb_2V_3O_9における熱伝導率の磁場効果 低次元量子スピン系Pb_2V_3O_9の高品質単結晶を育成し、磁場中で熱伝導率を測定した。その結果、低温、強磁場で発現するマグノンのボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)状態において、熱伝導が増強されることを発見した。その機構についてはよく分かっておらず、それを解明することは今後の課題である。
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