2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18044004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥西 巧一 Niigata University, 自然科学系, 助教 (30332646)
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Keywords | 磁場誘起秩序 / 密度行列くりこみ群 / 非整合秩序 / スピンチューブ |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続いて擬1次元量子スピン系のエキゾチックな磁場誘起秩序と三角形量子スピンチューブにおけるフラストレーションに起因する1次量子相転移の研究を行った。(1)昨年までに擬1次元XXZスピン鎖BaCO_2V_2O_8のXXZの異方性が0.5程度であることを決定したが、本年度はそのパラメーターに基づき、磁場中における1次元朝永-ラッティンジャー液体論と密度行列繰り込み群を組み合わせて臨界指数および相関振幅を厳密に計算し、さらに鎖間平均場近似とボソン化法を組み合わせることで、磁場誘起相転移の転移温度を定量的に決定することに成功した。また、量子モンテカルロ法も用いて非整合秩序が実現されることを非摂動的に示した。とくに、低磁場領域で新奇磁場誘起非整合秩序が起こることを示し、実験の相転移ラインと大変よい一致を示すことがわかった。この結果は、Phys.Rev.Bに出版し、本特定領域の国際シンポジウムでも発表した。(2)昨年度までに三角形スピンチューブは三角形をつなぐ相互作用の比が1.2程度で並進対称性の自発的に破れた状態とギャップレスの状態の間で量子相転移がおこることが解明されたが、そのメカニズムは謎であった。ユニット三角内の合成スピンに着目して合成スピンが厳密に保存する模型を構築し、そこからの連続性を用いて、量子相転移がユニットあたりの合成スピンが不連続に飛ぶことによる1次転移であることを明らかにした。
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