2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場・多周波数EPRによる整数スピン系金属タンパク質研究の新たな展開
Project/Area Number |
18044005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 洋 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (20127294)
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Keywords | 整数スピン / 電子スピン共鳴 / 多周波数・強磁場EPR / 零磁場分裂定数 / Mn^<3+>-ポルフィリン置換Mb |
Research Abstract |
本年度の研究はS=2整数スピン系のMn^<3+>-ポルフィリン置換Mb(Mn^<3+>Mb)を用いてMn^<3+>-金属中心の電子状態を解明する事を目的としている。研究成果のまとめを報告する。 ヘム垂直(z-軸)方向とDの符号の決定:Mn^<3+>Mbの10GHz EPRは零磁場近傍に特異な信号を示す。二重モード共振器のB_0//B_1モードを用いてΔS_m=2の遷移である事が示した。単結晶EPRの角度依存性、温度依存性よりD<0、g_z方向とヘム垂直方向(z軸)が一致する事よりg_z=1.93、E^2/D=-0.032cm^<-1>を得た。 ヘム面内(xy-)の信号解析:35GHzの単結晶EPRを高磁場領域で行い、角度依存性、温度依存性よりヘム面内に磁場がかけられたときの|-2>→|-1>近接準位間の遷移に対応する信号を同定した。g_<xy>=2.00と仮定して解析すると、零磁場分裂定数D=-2.44cm^<-1>、|E|=0.279cm^<-1>が得られた。しかし、これらのパラメータを用いたシミュレーションのスペクトルは実測の35GHzのEPRスペクトルを再現できなかった。 多周波数・強磁場EPR:50GHz、65GHz、88GHz、122GHz帯の高磁場EPRの温度依存性測定を行った。特に122GHz EPRで零磁場付近に新しい吸収が観測された。このEPR信号の強度は高温(10K)の方が強い事から|0>→|-1>準位間の遷移である事、そのエネルギー準位間は122GHz程度である事からD〜-4cm^<-1>である事が示唆された。 g_x=g_y=g_z=2.00と仮定してガウス型によるEPRスペクトルシミュレーションを実行した結果、D=-3.79cm^<-1>、E=0.077cm^<-1>が得られた。
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