2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18044008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
細越 裕子 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教授 (50290903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 禎文 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (00405341)
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Keywords | 磁性 / 分子性固体 / 低温物性 / 有機ラジカル / 量子磁性体 |
Research Abstract |
軽元素から構成される有機ラジカルは理想的なハイゼンベルグスピン系であり、特に低次元格子においては、量子効果が顕著に現れる。本研究では、磁場中における新しい量子現象の観測を目指し、従来のマクロス子ピックな磁化測定に加えて、ミクロスコピックな物性測定を行っていく。主な成果を以下に列挙する。(1)S=1ラダーBIP-TENOは磁場中で磁化の量子化による1/4磁化プラトーを示すが、これは系の対称性からは説明できない。圧力下の磁気測定を行うことにより、この物質が100K付近で小さな構造変化を示すこと、2kbar程度の圧力で構造変化が消失することを見出した。また、0.1Kの極低温における磁化測定の予備実験を行った。(2)S=1とS=1/2の混合スピン系物質BIPNNBNOの磁気相互作用について考察するために、ミクロスコピックな磁気測定として電子スピン共鳴実験を行った。磁化が飽和するまでの30Tの磁場領域に渡り、0.5Kの低温まで測定を行った。a軸が磁気的な特異軸であることを明らかにした。この方向の2種類の相互作用はスピンフラストレーションを誘起すると考えられ、今後の磁気構造決定に興味がもたれる。飽和磁化の2/3の値付近で見られる磁化の停留的挙動が磁化プラトーであるかどうかについては、決定的な情報は得られなかった。(3)S=1の蜂の巣格子磁性体F2PNNNOの磁化・熱測定により、スピンギャップから磁化プラトーへ変化する途中の磁場で、反強磁性相転移が起こることを見出した。
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