2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18044008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
細越 裕子 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 准教授 (50290903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 禎文 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (00405341)
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Keywords | 有機磁性体 / 量子スピン系 / 整数スピン / 低次元磁性体 / 強磁場 / 静磁化率 / 不純物置換 / 圧力効果 |
Research Abstract |
軽元素から構成される有機ラジカルは理想的なハイゼンベルクスピン系であり,特に低次元格子においては,量子効果が顕著に現れる。本研究では,磁場中における新しい量子現象の観測を目指して,新物質開発および各種物性測定を行った。主な成果を以下に列挙する。(1)最初のS=1ラダー化合物であるBIP-TENOはスピンギャップ,静磁化率の温度依存性におけるダブルピーク構造,1/4磁化プラトーで特徴付けられる。この物質の磁気相互作用と磁性発現機構について考察するために圧力下の磁化測定を行った。また,非磁性および磁性不純物との混晶を作成し,磁気測定を行った。圧力下でのダブルピーク構造の保持,不純物導入によるギャップレス基底状態を観測した。(2)S=1の蜂の巣格子磁性体F2PNNN0の磁気相互作用について考察するために,ミクロスコピックな磁気測定として電子スピン共鳴実験を行った。磁化が生じる9T以上の磁場中で吸収線の分裂が観測され,分子間相互作用によるスピンクラスター形成と関連付けられた。磁場中偏極中性子線回折実験によるスピン密度決定を行い,分子間スピン対形成によってスピン密度が減少することを見出した。これはスピシングレット形成の直接観測に成功したことになる。(3)幾何学的フラストレーションを持つ反強磁性化合物の合成を行い,磁場中挙動を検討した。
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