2006 Fiscal Year Annual Research Report
相分離液晶構造を有するイオン液体の構造制御と機能化
Project/Area Number |
18045010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (70214377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉尾 正史 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (60345098)
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Keywords | イオン液体 / 液晶 / 超分子 / 自己組織化 / ナノ構造 / 異方性 / イオン輸送 / 物質輸送 |
Research Abstract |
イオン機能性を有する有機材料として、イオン液体が注目を集めている。本研究では、高異方的・高選択的イオン機能性材料の構築を目指して、イオン液体への液晶性付与により、ナノメートルスケールの相分離液晶構造を実現するための分子設計手法の開発と実際の組織体の構築を行なうことを目的とした。 3,4,5-トリス(アルコキシ)ベンジル部位を有する扇形分子構造のイミダゾリウム塩を設計・合成した。これらの化合物の液晶性およびイオン伝導性に及ぼすアニオン種の効果を調べた。アニオン種として、高いイオン伝導性が期待できるペルフルオロ構造を有するテトラフルオロボレート・ヘキサフルオロホスフェート・トリフルオロメチルスルホネート・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミドの4種類を選択した。イミダゾリウムカチオンとの水素結合能が高く、球状のアニオン構造を持つテトラフルオロボレートとヘキサフルオロホスフェートのアニオンを有する化合物では、室温を含む幅広い温度範囲でヘキサゴナルカラムナー液晶相を発現した。一方、アニオン半径がヘキサフルオロホスフェートよりも大きく、共鳴電荷安定化構造を有するトリフルオロメチルスルポネート・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミドのアニオンを有する化合物では、イミダゾリウムカチオンとの相互作用力が弱くなることにより、液晶性を示す温度範囲が大幅に低下した。機械的なせん断力により、ガラス基板上で水平一軸配向させたカラムナー液晶材料に対して、カラム軸に平行および垂直な方向のイオン伝導度を測定した。ヘキサフルオロホスフェートアニオンを有するカラムナー液晶が、最も高いイオン伝導度を示した。また、伝導度の異方性値は、アニオン半径が大きくなるほど小さくなる傾向にあった。
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