2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18045012
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿竹 徹 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 教授 (30028229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川路 均 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (10214644)
東條 壮男 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助授 (80291350)
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Keywords | イオン液体 / 融点 / ガラス転移 / 多形 / 熱容量 / 熱力学関数 / イミダゾリウム塩 |
Research Abstract |
本研究では,R=ブチル基(bmim)のbis(trifluoromethylsulfonyl)imide(Tf2N)塩である[bmim][Tf2N],およびR=ヘキシル基の塩[hmim][Tf_2N]について精密熱容量測定を行い,ガラス転移現象,多形,結晶の融解挙動を観測した.[bmim][Tf_2N]では,ガラス転移温度は182Kであった.また,融点は270.40Kであり,融点直下では複雑な融解前駆現象が観測された.また,融解エンタルピーは24.OkJmor^<-1>であり,融解エントロピーは88.9JK^<-1>mor^<-1>であった.[hmim][Tf2Nについては,ガラス転移温度は183Kであり,結晶化の方法によって幾つかの多形が出現する現象が見出された.最安定相(1相)の融点は272.05Kであり,融解工ンタルピーは27.9 kJ mol^<-1>,融解エントロピーは102.4JK^<-1>mol^<-1>であった.両者を比較すると,[bmim][Tf2N]の融解エントロピーは約20%も大きいにもかかわらず,融点は1.65K(0.6%)しか増加していない.分子量の増加による凝集エネルギーの増加分と融解エントロピーの増加分が相殺して転移温度がほとんど変化しなかったものと考えられる.一方,両化合物とも固相中でガラス転移に類似な熱異常が観測されており,これらの化合物においては,分子内自由度が大きいことに起因した複雑な結晶多形現象やその凍結現象が共通して現れることが明らかになった.
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