2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体-発光材料コンポジットを基盤とするセンシングシステムの開発
Project/Area Number |
18045022
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (70379543)
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Keywords | イオン液体 / 発光 / センサー / 半導体 / ナノ粒子 / 光物性 / レーザー |
Research Abstract |
イオン液体中における半導体ナノ結晶などの発光体の発光特性変化や、レーザー色素によるレーザー発振特性変化に基づくセンサーシステムの構築を目的として研究を行った。研究者らは、これまで、カチオン性の有機化合物により被覆されたCdTeナノ結晶が水溶液中からイオン液体中へ容易に抽出され、水溶液中よりも優れた光学特性を示すことを見い出している。本年度は、イオン液体中における測定により、極低温におけるCdTeナノ結晶の特異的な発光特性を見い出すことに成功した。通常、水溶性のCdTeナノ結晶は水中において0℃以下まで冷却すると、媒体の結晶化に伴い、表面欠陥を誘起し著しく発光特性を損なってしまう。一方、イオン液体中においては10Kまでの冷却に伴い、媒体が結晶化しても発光を損なうことなく、むしろ、連続的に発光強度が増強し、およそ100K以下において発光量子収率がほぼ1となることを見い出した。このような現象は、通常の有機溶媒や水を用いた系では観測されず、イオン液体を用いることで初めてCdTeナノ結晶の本質的な発光特性、すなわち励起状態のバンド構造を厳密に議論することが可能となった。 さらに、本年度はイオン液体中におけるマイクロ波照射による半導体ナノ結晶の結晶成長ならびに発光特性の向上について研究を行った。その結果、イオン液体は優れたマイクロ波反応媒質であり、短時間の照射で効率的に加熱されることを見い出した。150℃のマイクロ波処理で、イオン液体中において発光量子収率0.5を超えるCdTeナノ結晶の作製に成功した。今後、強発光性の半導体ナノ結晶を用いて、センシングシステムの構築を行う。
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