2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18046015
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
金城 徳幸 お茶の水女子大学, ライフワールド・ウオッチセンター, 特任教授 (00401604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿本 雅明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90152595)
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Keywords | 機能性材料 / 大気汚染防止・浄化 / 環境触媒 / 酸化チタン系触媒 / 半導体実装材料 / 芳香族ポリイミド / 電子・電気材料 / トランジスター |
Research Abstract |
日本が先行した機能性材料の技術革新「排煙脱硝触媒」と「半導体ポリイミド」の開発史を紐解き、知識基盤の構築を図かった。両分野は異質であるが技術革新が成功した鍵として、研究所、工場、営業、顧客の連携や知識共有の仕掛けが組み込まれていた事、会社の経営方針とのマッチングと社会的ニ-ズが強力なテクノロジードライバーであった経緯を明らかにした。しかし、両技術革新には、次のように視点の異なる結果も得られた。 1)排煙脱硝触媒技術 日本の公害・環境問題の歴史を解きほぐし、環境問題対策の緊急課題として化石燃料の燃焼排ガス中のNOxを低減させる技術が誕生した必然性を明らかにした。特に、工業化上の問題は排ガス中に含まれるSOxによる触媒の失活であったが、その被毒作用のメカニズムを解明し、硫酸塩を形成しない酸化チタンに着目しその複合化により高活性と高信頼性の触媒開発が乾式排煙脱硝装置のキー技術となった。深刻な大気汚染公害に悩まされていた日本で真っ先に実用化されたこの排煙脱硝装置は、高い評価を受けて世界的に普及し、ビジネスとして大きな成功を収めた。ここで得られた教訓は、「システムを制するものは材料にあり」であった。根底にはシステムの熟知に基づく二ーズの真髄を把握していたことがあると思う。 2)半導体用ポリイミド 高分子材料開発の過程とポリイミド開発に至った技術革新の経緯、及び各社の開発競合状況を明らかにした。次に、半導体応用製品に対する社会的ニーズが半導体技術の飛躍と進化をもたらしたテクノロジードライバーであったこと、そして有機材料がその技術革新の波に組み込まれた経緯を解きほぐした。ポリイミドを半導体、さらにエレクトロニ講クス分野の重要材料に位置づける技術革新は必然性を伴っていたのである。06年度の重要な成果は、様々な分野における『技術革新の同期化』現象が社会の大変革を促すことに気付いた点である。従って、技術革新のテクノロジー・ドライバーの変遷を把握することも重要で、それらを踏まえて、ポリイミドの応用製品展開と機能性開発の具体的な進化を明らかにすることが、次年度の課題である。
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Research Products
(2 results)