2007 Fiscal Year Annual Research Report
視覚と触覚に関する環境情報の不一致を利用した学習と制御モデルに関する研究
Project/Area Number |
18047009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 康晴 Tokyo Institute of Technology, 精密工学研究所, 准教授 (10302978)
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Keywords | 順モデル / 統合失調症 / リハビリ |
Research Abstract |
ヒトは重力加速度で落下する物体を受け取るときに,物体と手が衝突する時刻を予測し,衝突時刻の一定時間前に筋肉に力を入れ始める.落下加速度が重力加速度でない環境下では,学習により接触タイミシグの予測を調整し,やはり衝突の一定時間前に力を入れ始めるようになる.しかし受け取り動作の代わりに物体をパンチする実験では十分に学習できないことから,受け取り動作の場合において常に与えられる触覚情報が学習に重要な役割を果たす可能性があると考えた. 本砥究ではこのことを検証するため,力情報の提示タイミングを微小時間ずらしたバーチャルリアリティ環境内で,重力加速度で落下するバーチャルボールを繰り返し受け取るタスクを用い,被験者がどのように運動開始タイミングを調整するかを調べた.力情報をずらす時間としては,±60ms,Oms(ずれなし)を用い,各ずれに対し60回ずつタスクを行った.この学習が済んだ後,学習していない高さに対して同じ課題を行った.この課題により,脳が環境のダイナミクスを獲得しているか,さらには,学習している物が加速度の情報なのかを検証した. 実験の結果,時間のずれを加速度の変化として学習していたこと,また,ある一定の加速度情報を用いて接触タイミングを推定していたことから,環境のダイナミクスを推定に用いていることを確認した.さらに,視覚情報から得られる加速度情報と実際の推定に用いている加速度情報が異なっていることから,視覚情報から得られる加速度情報は精度が良くない可能性があることを示唆している.
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