2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18047013
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
花川 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第七部, 室長 (30359830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 学 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第七部, 部長 (40321608)
橋川 一雄 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70281128)
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Keywords | 姿勢制御 / 非侵襲脳機能計測 / 環境適応 / 高齢化 / 歩行障害 |
Research Abstract |
ヒト二足歩行の環境適応メカニズムの解明を目指し、現在四足歩行動物で提唱されている歩行の機能解剖モデルと過去のイメージング研究を参考にして、ヒト二足歩行の機能解剖モデルの提唱とそれによるパーキンソン歩行の病態生理の説明を行った(Hanakawa 2006)。歩行運動は、基底核を中心とし、基底核-皮質ループ系と基底核-脳幹系の二重支配を受けている可能性が高い。パーキンソン病の歩行障害には、基底核-皮質ループ系の異常の一部として補足運動野の機能低下が関係している証拠があり、基底核。脳幹系の異常が存在する可能性も大きいが現在その具体的な証拠はない。また、横線などの視覚刺激に対するパーキンソン歩行の改善には、視覚運動課題へのパラダイム・シフトを介した、背側視覚野、小脳、運動前野の賦活が重要であり、補足運動野を含む基底核-皮質ループ系の異常をバイパスしているものと考えられる。これらの仮説を説明していく手段の一つとして、パーキンソン様歩行障害を示しうる白質障害患者20名を対照として、シングルフォトン断層像による歩行時脳血流の評価を行った。視診による分類では歩行障害群が11名、非歩行障害群が9名で、両群の間に有意な歩行パラメーター(歩幅、歩隔、歩行速度、両脚支持期)の差を認めた。全体的な賦活パターンは以前にわれわれが報告したものと同様であったが、歩行障害群で補足運動野と視床の歩行時脳活動の低下を認めた。また、歩行障害群では、パーキンソン病で代償的脳活動の更新が見られる右運動前野の活動が亢進しており、同様の代償機序が働いているものと思われた。今後、歩行分析の結果を解析に組み込み、さらに詳細な結果の解釈を行っていく。
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