2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体の運動計画における基本戦略とその実現アルゴリズム
Project/Area Number |
18047016
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00242040)
|
Keywords | 歩行 / 遊脚 / 消費エネルギー最小化 / 軌道計画 / 到達運動 / 学習 / CPG / 生体ノイズ |
Research Abstract |
神経系がどのように運動を学習・制御しているかを理解するためには,運動軌道を一意に決定している拘束条件が何かを理解する必要かおる。本研究の目的は,(1)歩行や腕の到達運動の運動計画が「消費エネルギー最小化」に基づくことを示し,(2)「消費エネルギー最小化」といった拘束条件を満足する運動を学習・実現する神経メカニズムを制御論的視点で推定することである。以下にはそれぞれに関する本年度の成果を述べる。 1.歩行運動の解析に関しては,歩行中の遊脚期における足先および踵・膝・腰関節の運動軌道を計測した結果と,数値計算により求めた消費エネルギーを最小にする最適軌道との比較検討を行い,両者が定性的にも定量的にも多くの点で類似することを示した。腕の到達運動に関しては,有力とされているいくつかの軌道決定規範について,生体ノイズの影響下で補間運動を繰り返して目標地点に到達するのに必要な総消費エネルギー量を計算し,どの規範が総消費エネルギーの点て優れているかを検討した。その結果,到達運動の軌道選択においても消費エネルギーの最小化が拘束条件となっている可能性を示唆するものであった。 2.最適な運動を学習・実現する神経メカニズムに関しては,ネコやサルの神経生理学的知見をもとに,高次中枢と脊部内のCPGが協調して運動指令の大きさとタイミングを学習・出力する階層的学習制御モデルを提案し,その機能的妥当性をシミュレーション実験で確認した。
|