2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体の運動計画における基本戦略とその実現アルゴリズム
Project/Area Number |
18047016
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00242040)
|
Keywords | 歩行 / 遊脚 / 消費エネルギー最小化 / 軌道計画 / 到達運動 / 学習 / CPG / 生体ノイズ |
Research Abstract |
本研究では, (1)「生体はどのような運動を実現しているか」(2)「生体はどのようなメカニズムで運動を実現しているか」という問題に関する検討を行った。(1)については「生体は消費エネルギーの期待値の最小化」を図っていることを示唆する結果を腕のりーチング運動と歩行中の遊脚軌道の検討によって得た。ここで,「期待値」に対する最小化であるということは,生体は運動計画を行う際に短期的な最適化を実現する軌道を計算しているのではなく,進化や学習の長期的な時間にわたって経験的に最適な運動を獲得していることを意味する。本研究結果は異なる種類の運動の軌道がどのように決定されているかを共通の原理に基づいて説明できることを示した点で非常に意義のあるものである。(2)については,反射的な制御システムとリズム発生器が協調的に運動を学習・制御するアルゴリズムを検討し,反射とリズム発生器の両者の協調によっていずれか一方を用いた場合より外乱に強い制御を実現できることを示した。近年生体の歩行制御は反射のみで実現されているという主張がしばしばなされているが,本研究結果はリズム発生器が反射と協調的に働くことでロバスト性を大きく向上しうることを示した点で重要である。
|