2006 Fiscal Year Annual Research Report
行動の発現制御における体性神経機能と自律神経機能の相互連関・統合メカニズム
Project/Area Number |
18047018
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松山 清治 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40209664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 藩 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (50001871)
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Keywords | 歩行運動 / 呼吸運動 / リズム運動 / 歩行中枢パターン発生器 / 脊髄 / 脳幹 / 縫線核 |
Research Abstract |
本研究は体性神経系と自律神経系の代表的運動機能の一つである"歩行運動"と"呼吸運動"に着目し、これらの協調発現に関る中枢機序解明を目的としている。歩行運動と呼吸運動はリズム運動としての性質を持ち、その基礎的神経機構は脳幹一脊髄に存在することから、本年度は各機能の脳幹一脊髄レベルにおける発現・調節機序解明を目的として、(1)歩行運動における四肢協調運動の発現機序、(2)延髄縫線核による呼吸運動の調節機序に関して研究を行った。これらの成果を以下に概説する。 研究(1)実験にはハロセンガス麻酔下で上位脳を離断した除脳ウサギ歩行標本を用いた。中脳楔状核の電気刺激により歩行運動を誘発し、その際の前肢・後肢の運動パターンおよび骨格筋活動より、四肢協調運動発現メカニズムについて検討した。中脳楔状核刺激により除脳ウサギの後肢には左右同位相で後方への強い伸展を伴う跳躍運動、前肢には左右交代性の屈伸運動が誘発された。この歩行パターンの違いから前肢と後肢の歩行中枢パターン発生器(CPGs)の機能発現に違いがあることが示唆された。この違いにも関らず、後肢に一旦跳躍運動が発現すると、前肢の運動周期は後肢の周期に一致することから、前肢CPGsと後肢CPGsは脊髄固有神経投射系を介して強い機能的結び付きを持つことも示唆された。以上より歩行運動における四肢協調運動発現のための中枢機構の概要が明らかとなった。 研究(2)実験にはケタミン麻酔したラットを用いた。ラット延髄縫線核の電気刺激により呼吸運動は抑制または促通される。これらの電気刺激部位を組織学的に検討したところ、抑制効果は主として大縫線核、促通効果は主として淡蒼縫線核の刺激であることが示された。さらに薬理学的実験および免疫組織学的実験より、縫線核刺激による呼吸運動の抑制及び促通効果はそれぞれGABA作動性および5-HT作動性ニューロンが関与することが明らかとなった。
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