2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロコモーションからリーチングへの進化仮説〜霊長類の頸髄を対象とした実験的検証〜
Project/Area Number |
18047027
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
関 和彦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (00226630)
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Keywords | 霊長類 / ロコモーション / リーチング / 脊髄 |
Research Abstract |
ロコモーション(歩行)とリーチングは一見全く異質の運動として捉えられ、それらを制御する神経機構についても別々の形で研究が行われてきた。しかし、四足歩行動物における「はしご渡り」や、二足歩行動物(霊長類)のリーチングにおける筋活動パターンの規則性などのように、実は両者間には多くの共通点がある。この相似性は、四足歩行から二足歩行への移行という環境の変化に対して、前肢の歩行運動を制御している脊髄固有神経回路(CPG)がリーチングを制御する神経回路網に適応的変化したことを反映しているのではないだろうか。本研究の目的は、この「リーチング運動は歩行運動の進化形である」という仮説を神経生理学的に実証することにあった。そのため、覚醒サルの下位頚髄上に神経活動記録用チェインバーを装着し、サルにリーチング運動を行わせ、「CPG関連ニューロン」の活動を記録する。それによって歩行運動とリーチング運動において共通のニューロンまたはニューロン網が用いられている可能性を検討するという目標をたてた。本年度はリーチングの一要素である把握運動時に脊髄ニューロン活動を慢性的に記録する方法を開発した。つまり、サルの肘を固定することによって体幹部の動きを制限し、精密把握運動を親指及び人指指で行わせている間に、脊髄ニューロン活動を記録した。その結果、記録された半分以上の神経が課題に応じた活動性の変化を示していた。その活動性は1)緊張性、2)相動性、3)緊張性+相動性の3パターンが多かった。
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Research Products
(3 results)