2007 Fiscal Year Annual Research Report
オンチップ・ナノ・エレクトロポレーションによる細胞応答計測と機能制御
Project/Area Number |
18048008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鷲津 正夫 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (10201162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 秀俊 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20252471)
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Keywords | エレクトロポレーション / 電界集中 / 細胞 / 物質導入 / 細胞応答 / 微細加工 / μ-TAS / マイクロオリフィス |
Research Abstract |
本課題の研究対象である電界集中を用いたエレクトロポレーションとは,細胞径の数分の1程度の大きさの微細オリフィスを持つ絶縁性薄膜の作る電界集中を用い,オリフィス上に吸引固定された細胞にパルス電界を加えることによりオリフィスに接した細胞膜のみに可逆的膜破壊を起こし,細胞内に物質導入を行う手段のことである。 本年度の研究においては,波高値1-2V程度の高周波変調パルスを用い,主に哺乳類細胞を対象として実験を行い,次の結果を得た。 1.パルス印加後の細胞の経時観察を数日間にわたって行い,本法によるエレクトロポレーションが生存性・活性に影響を与えず,エレクトロポレーションを行った細胞は通常の細胞同様に増殖することを示した。 2.低分子量物質導入は印加電圧の極性によらないが,プラスミドの導入においては,電気泳動の効果があらわれ,適切な極性を選択すると,チップ上に固定された細胞の20%程度に遺伝子を発現させることができることを示した。 3.オリフィスおよび微小流体回路を一括で作製するための,斜め露光という新手法を開発し,1細胞レベルで細胞の特定位置から物質導入を行う手法を開発した。 また,本研究を通じて開発した電圧印加時の膜電位の数値解析法を用い,2つ以上の細胞がある場合の膜電位分布を解析したところ,従来の細胞懸濁液に単に一様電界を印加する電気細胞融合では本質的に高い収率になり得ないこと,および上記エレクトロポレーション同様に微細オリフィスの作る電界集中を用いれば,高収率で必ず1:1の融合が行えることを理論的に示した。
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