2006 Fiscal Year Annual Research Report
最適酸素供給効率に基づく機能的血管化組織の構築法に関する研究
Project/Area Number |
18048011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 政廣 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60158954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市岡 滋 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60306272)
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Keywords | 微小循環 / 酸素消費 / 酸素分圧 / 酸素供給 / 血管新生 / 低酸素 |
Research Abstract |
低酸素に対応する生体制御システムの一環としての血管新生メカニズムを検証した。そのために、本年度は、生体内血管新生モデルを確立し、組織酸素分圧と血行動態・血管新生の関連を解析した。また、組織への酸素供給に大きく影響する血管壁での酸素消費を定量化し、新生血管密度と組織への酸素供給効率の関連を検討した。骨格筋毛細血管血流は組織の酸素分圧に強く依存し、組織酸素分圧の上昇に伴い毛細血管血流は減少し、その減少の割合は直線的ではなく約40mmHgに変極点を持つS字カーブであることを示した。このことは、酸素分圧を介した骨格筋毛細血管血流の調節は線形ではなく、特定の酸素分圧を閾値に持つON-OFF制御機構である可能性を示唆するものである。また、骨格筋毛細血管血流を調節するための酸素感知機構に関し、毛細血管直前の3rd order細動脈壁に存在する可能性を示した。さらに、骨格筋微小循環での酸素分圧測定法を開発し、生体内で機能的状態にある細動脈血管壁の酸素消費を検討した。その結果、血管壁での酸素消費率は、摘出血管等を対象としたin vitro実験系によるこれまでの報告値より2桁以上高く、細動脈での血中酸素濃度の低下にも強く関与していることを明らかにした。血管壁での酸素消費と組織への酸素供給に関し、機能的状態における細動脈血管壁の酸素消費は、通常時(安静時)より血管平滑筋弛緩時で低下した。これは骨格筋組織の酸素需要が多い運動時(血管拡張時)により効率的に組織へ酸素供給できるような合目的システムが存在するのではないかと考えられる。
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