2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト個体システムの制御応答研究ツールとしての培養細胞利用型オンチップ人体
Project/Area Number |
18048012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00235128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 輝夫 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30251474)
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Keywords | オンチップ人体 / マイクロ流体デバイス / 分配 / 動態 / 脂肪細胞 / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
初年度である平成18年度は、以下の2つについて研究を進めた。 1.システム基本デザインと製作・細胞無し評価 特に従来のin vitro評価法にて全く評価不可能な臓器間分配プロセスにいての評価を可能とすることを目的として、3つの平等な細胞培養コンパートメントを持つシステムをデザインした。死細胞混入時も停止しないオンチップマイクロポンプとして磁気スターラーを利用したものを開発した。また個別コンパートメントで別々の細胞を一定期間育成し(個別灌流)、必要に応じて接続できるように(全体灌流)、各コンパートメントには独自の灌流回路を設け、極小クリップを用いるバルブによって両灌流モードを自由に選択可能とした。シリコンゴムを用いた型取りプロセスにて造形を行った。個別灌流・全体灌流とも良好に行え、シリコンゴムのデバイス部のみはディスポーザブル化が可能となり、モーター等の駆動部は繰り返し使用するという基本コンセプトを確立すると共に、細胞無しの数日間の連続運転でその性能を確かめた。 2.脂肪細胞の固定化と物質動態の蛍光イメージング 化学物質の体内分配プロセスに大きな影響を及ぼす脂肪組織コンパートメントに絞って検討を行った。ラットから十分な成熟脂肪細胞を採取することができたが、その密度は培養液より小さいため、システム内での分散安定培養が困難であった。そこで、不織布状の三次元担体をコンパートメントに充填し、デバイスの下側から脂肪細胞を導入することで、分散高密度安定固定化を初めて可能とした。また、物質動態のイメージングによる把握のために、蛍光性の発がん性物質であるフルオランセンを用い、デバイス内での動態をイメージング装置にて非破壊的に取得することができた。また脂肪細胞の有無によって、その分布は大きく異なり、数時間の灌流で疎水性の高いプルオランセンは脂肪細胞に特異的に蓄積することも観測できた。
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