2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞の環境に対する応答および機能性人工細胞の構築の研究
Project/Area Number |
18048020
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 昌一 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 教授 (70200665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一世 千葉大学, 理学部, 教授 (90114248)
伊藤 忠直 京都大学, 低温物質科学センター, 教授 (90093187)
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Keywords | 生物物理学 / ナノバイオ / 一分子計測 / 巨大リポソーム(GUV) / 単一GUV法 / 人工細胞 / 抗菌性ペプチド / 静電相互作用 |
Research Abstract |
抗菌性ペプチドのマガイニン2のボア形成のメカニズムを解明するために、脂質膜の表面電荷密度がポア形成に与える効果を単一GUV法により研究した。正味の負の電荷を持つジオレオイルボスファチジルグリセロール(DOPG)と中性のジオレオイルポスファチジルコリン(DOPC)の混合膜のGUV(DOPG/DOPC-GUV)を作成し、DOPGの膜内濃度を変えることにより(30-60mol%DOPG)、GUV膜の表面電荷密度を制御した。すべての種類のGUVで、急速なカルセインの漏れを観測し、マガイニン2がポアを形成することがわかった。マガイニン2と1個のGUVをt分間相互作用させたときに、調べたすべてのGUVの中で漏れが起こったGUVの割合(または確率)P_<LS>(t)は、単一GUV法では漏れの特性を表す重要なパラメーターである。同じ表面電荷密度を持つGUVにおいては、P_<LS>(6min)はマガイニン2の濃度ともに増加した。また、P_<LS>(6min)=0.5になるマガイニン2濃度は、膜の表面電荷密度が小さくなるにつれて、大きく増大した。GUV膜とマガイニン2の静電相互作用をポアッソン-ボルツマン方程式に基づいて考え、またマガイニン2の脂質膜への結合定数を実験的に求めることにより、脂質膜界面に結合したマガイニン2の濃度(膜界面におけるマガイニン2と脂質のモル比)X_bを求めることに成功した。膜の表面電荷密度にかかわらず、ある臨界濃度のX_bのところから急激にP_<LS>(6min)が増大することがわかった。このことは、膜に結合したマガイニン2の膜界面での濃度が、ポア形成に重要な役割を果たすことを示す。
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