2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二分子膜ベシクルにおける相分離と形態のカップリング
Project/Area Number |
18048034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市川 正敏 九州大学, 理学研究院, 助手 (40403919)
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Keywords | ベシクル / リポソーム / レーザートラップ / 相分離 / バイオリアクター |
Research Abstract |
本研究の目的は、多成分の脂質二分子膜ベシクル上で起こる2次元的な相分離に於ける、相分離とベシクル形態の関係を明らかにする事である。本年度は、ベシクルを出来るだけ非侵襲的に変形させると共にその力を測定可能な光ピンセット装置の開発を中心に研究を行った。開発した装置を用い、既存の理論モデルに結果を当てはめる事で脂質膜ベシクルの張力係数と曲げ剛性率を測定できる事を確認した。通常、力測定が可能な場合でも1変数の力測定では張力係数か曲げ剛性率の一方、もしくはその比しか解析で導く事が出来ないが、伸張速度とそこで得られる力の依存も取得する事で、両方の係数を同時に得る事が出来るようになった。精度はマイクロピペットを用いた方法と同等かやや上回り、数pNから100pNを越える変形力を必要とする実験に使用できる。一方で相分離ベシクルを作成する方法の改良に取り組み、同特定領域の他研究グループとの共同研究によって超巨大ベシクルの作成法を編み出した。この方法によって統計量に対して十分と言えるだけの数の相分離ドメインを有するベシクルの作成が可能になった。このドメインの運動を観察・解析する事により、ドメイン間に働く実効的な相互作用ポテンシャルを取得した。定量的に得られたこのポテンシャルは相分離ドメイン同士に働く力の解明に寄与するものであり、ベシクル上で自己組織的に形成されるドメインパターンの要因の一つと考えられる。次年度は、相分離ベシクルの変形とそれに要する力測定を同時に行い、外力誘起の相分離の実験を進める計画である。
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