2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18048039
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
辻 孝 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (50339131)
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Keywords | 再生 / 歯 / 器官再生 / 臓器形成 / 幹細胞 |
Research Abstract |
次世代の再生医療に向けて、疾患や傷害を受けた器官を、生体外で細胞操作によって人工的に作製した器官と置換する臓器置換再生医療を目指した基盤技術開発が期待されている。本研究課題では、細胞操作により単一化細胞から歯や体毛の器官原基を再構成する基盤技術を開発した。 胎齢14.5日のマウスの下顎切歯歯胚を摘出し、酵素処理により上皮・間葉組織をそれぞれ単一化細胞として分離した。それぞれの細胞から種々の条件で再構成歯胚を作製し、24-48時間の器官培養後に、成体マウス腎皮膜下への移植、並びに生体外器官培養により器官発生の評価を行なった。上皮・間葉細胞を用いて本法により再構成した歯胚では、腎皮膜下移植、器官培養系のいずれにおいても歯の硬組織や細胞を正しい組織配置で有する複数の切歯が、100%の頻度で発生した。さらに胎齢14.5日マウスの頬ひげ原基から、同様の方法により再構成毛胞を作製したところ、100%の頻度で毛が形成された。 さらに本研究によって再構成した人工歯胚、あるいは再生歯が成体口腔内の抜歯腔で発生可能かを解析した。5週齢マウスの下顎切歯を抜歯し、切歯根尖部位の頬側面の顎骨へ移植する抜歯腔移植モデルを構築した。生体外で器官培養し発生させた再構成歯胚から単独の歯胚、あるいは腎臓皮膜下で発生させた再生歯を単独に分離して移植したところ、歯の硬組織や細胞を正常な歯と同一の組織配置で有する切歯が発生した。抜歯腔で発生した再生歯には歯根膜様の組織構造が認められると共に、再生歯の歯髄組織内部に血管と神経線維が進入していることが判明した。 本研究の成果により、細胞操作によって器官発生しうる器官原基を人為的に作製可能であると共に、生体外で再構成した器官原基が成体の目的の部位で器官発生することが示され、臓器置換を目指した再生医療の実現可能性が示唆された。
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