2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規リン脂質代謝酵素欠損マウスでの著明な小胞輸送異常と病態
Project/Area Number |
18050004
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 Akita University, 医学部, 教授 (50333365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須賀 俊輔 秋田大学, 医学部, 助教 (90375262)
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Keywords | リン脂質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
生体膜を構成するイノシトールリン脂質は、細胞内シグナル分子として機能することが知られている。イノシトールリン脂質は、そのイノシトール環の3カ所の水酸基におけるリン酸化の有無により、8種類存在している。これらの分子の存在量比が、数十種類以上に及ぶイノシトールリン脂質代謝酵素によって、時間的、空間的に厳密に制御されることによりシグナル分子として有効に機能している。本研究では、ホスホイノシチド群の中で最も遅れて発見された、ホスファチジルイノシトール3,5一ニリン酸(PI(3,5)P2)に着目し、その唯一の産生酵素と考えられるPIPKIIIの遺伝子欠損胚性幹(ES)細胞、マウスを作製し、以下に示す興味深い知見を得た。 PIPKIII遺伝子欠損ES細胞は、著明な細胞内小胞輸送の異常を来たし、細胞内に酵母の液胞に似た巨大化小胞(空胞)を生じた。この空胞膜上には、初期エンドソームマーカーであるホスファチジルイノシトール3リン酸と後期エンドソーム/リソソームマーカーであるLamp1が共局在していた。この結果から、PI(3,5)P2が初期エンドソームからリソソームに至る輸送経路において重要な役割を担うことが示唆された。 PIPKIII遺伝子ホモ欠損マウスは胎生致死であった。円筒胚期より、胎仔本体を取り囲む臓性内胚葉に巨大な空胞が生じており、9.5日胚までに全例が致死となることが明らかとなった。臓性内胚葉は胎仔の栄養吸収に重要な役割を担うと考えられていたが、その詳細な機構は長らく不明であった。本知見は、初期発生における細胞内小胞輸送の重要性を示す、興味深いものと思われる。
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Research Products
(6 results)