2006 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスにおけるF-BARドメインの役割
Project/Area Number |
18050008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30313092)
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Keywords | BARドメイン / F-BARドメイン / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
1.FBP17のF-BARドメイン内において保存度の高いアミノ酸に着目し、点突然変異を導入して(1)リン脂質結合能と(2)生体膜変形活性の相関を検討した。まず、アミノ末端領域をEdmundson wheels analysisにより解析したところ、Leu7、Phel1が両親媒性を持つヘリックス構造の疎水性面に位置することが明らかになった。一方、His17は親水性面に位置し、正電荷を介してリン脂質と相互作用していると考えられた。Leu7、Phel1をそれぞれグルタミン酸に置換した変異体(L7E、FllE)はin vitroアッセイによって膜変形活性を失っていることが明らかとなったが、膜結合能そのものは約80%程度保持していることが分かった。またHis17をアスパラギン酸残基に置換した変異体(H17D)も同様に膜変形活性を失っていたが、やはり膜結合能は保持していた。以上の結果はFBP17のF-BARドメイン内には(1)リン脂質結合と(2)膜変形の2つの活性に関与する部位が別々に存在していることを示唆するものである。 2.BARドメインとF-BARドメインの協調的な作用の有無を確認するために、GFP、mRFPタグを付加した発現コンストラクトを作製した。BARドメインタンパクとしてamphiphysin1を、F-BARドメインタンパクとしてFBP17を選択した。まず、これらのタンパクをCOS7細胞内に過剰発現すると、細胞膜の陥入によるチューブ状構造が形成されることが観察された。さらにこのチューブ構造を詳細に観察すると、同一の膜チューブ上にBAR、F-BAR両タンパクが局在しており、両者は決して混じりあうことなく別々の膜ドメインを形成していることが明らかとなった。この結果はBAR、F-BAR両ドメインが別々の膜構造、特に膜チューブの異なる直径を認識して局在していることが示唆された。 3.さらに上記の発現系を用いて全反射顕微鏡(TIRFM)による経時観察を行った。その結果、低レベルでの発現細胞において両タンパクはドット状の局在パターンを示すこと、またこれらのドット状構造は生成と消失を繰り返す暫時的な構造であった。さらに、その出現パターンはF-BAR→BARという順番であることから、両者の協調的な作用機序が示唆された。
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Research Products
(4 results)