2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞内型ホスホリパーゼA1による逆行性輸送制御機構の解明
Project/Area Number |
18050009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (20250219)
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Keywords | ホスホリパーゼ / 細胞内輸送 / 非対称分裂 / 線虫 / RNA干渉法 |
Research Abstract |
ホスホリパーゼA_1(PLA_1)は、リン脂質のアシル鎖のうち1位を加水分解し2-アシルリゾリン脂質を産生する酵素である。その活性自体は古くから知られているが、PLA_1の生体内機能はほとんど不明である。細胞内型PLA_1(iPLA_1)・は真核生物に保存されたファミウーを形成しており、線虫には1つの、哺乳類には3種類のiPLA_1(PA-PLA_1、p125、KIAA0725)が存在する。我々は、これらiPLA_1の生体内機能、さらには産物である2-アシルリゾリン脂質に焦点をあて研究を行っている。特に今回哺乳類iPLA_1,KIAA0725と線虫iPLA_1の機能解析を行った。 KIAA0725の機能解析 GFP-KIAA0725安定発現細胞を用いた解析から、KIAA0725は主にゴルジ体とサイトゾルに存在したが、一部細胞内のドット状構造にも局在しERGIc-53と共局在することが分かった。また、siRNAによるKIAA0725の発現抑制によりゴルジ体に局在するERGIC-53の割合が増加した。そこでゴルジ体からERへの輸送経路に着目し、この経路で輸送されるコレラトキシン(CTX)の逆行輸送を解析した。その結果、CTXのゴルジ体からERへの輸送速度が顕著に低下していることがわかった。また、強制発現細胞内には、2-アシルリゾホスファチジルエタノールアミン(lysoPE)の蓄積が観察された。 線虫iPLA_1の解析 まず、UV/TMP法を用い作製された、ipla-1の遺伝子欠損C.elegansを解析し、ipla-1欠損変異体は幹細胞様上皮細胞(seam cell)の非対称分裂のうち最後の細胞分裂のみに異常が生じるというユニークな表現型を示した。さらに、ipla-1変異体に対して変異剤処理をし、非対称分裂の表現型を回復させる変異体をスクリーニングした.ところ、endosome-Golgi間の小胞輸送を制御すると考えられている遺伝子群がサプレッサー遺伝子であることがわかった. 以上の結果から、iPLA_1はゴルジ体を中心とした細胞内輸送に重要な役割を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)