2007 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによる選択的なユビキチン化蛋白質輸送機構の解明
Project/Area Number |
18050035
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小松 雅明 Juntendo University, 医学部, 准教授 (90356254)
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Keywords | オートファジー / 神経変性疾患 / 品質管理 / 封入体 / ユビキチン / 軸索 |
Research Abstract |
オートファジーは、ダイナミックな膜形成(オートファゴソーム形成)を伴う真核生物に保存された蛋白質分解システムである。酵母などの下等単細胞生物においては、オートファジーは飢餓に応答した生存戦略が唯一の働きと考えられてきた。申請者らは、様々な臓器特異的オートファジー不能マウスを作製・解析してきた。昨年度は、脳特異的オートファジー欠損マウスを作製し、そのマウスは反射異常、協調運動障害などの神経変性疾患様症状を示し、その神経細胞内には加齢と共にユビキチン陽性封入体が蓄積すること、大脳皮質、海馬、小脳穎粒層において神経細胞死が起こることを報告した。しかしながら、ユビキチン陽性封入体が形成される分子メカニズムや病態発症機構については不明のままであった。 今年度は、超感度プロテオミクス法によりオートファジーにより選択的に分解される分子としてユビキチン結合タンパク質p62を同定した。オートファジー不能細胞において、p62は異常蓄積しp62-ユビキチン陽性の封入体を形成した。重要なことに、p62-ユビキチン陽性の封入体はアルコール性肝炎や多数の神経変性疾患において検出される。驚いたことに、Atg7/p62ダブルノックアウトマウスにおいて封入体形成はほぼ完全に抑制された。このことは、オートファジーによるp62を介したユビキチン化タンパク質の分解がヒト病態発症に関与する封入体形成を抑制することを強く示唆する。 また、ロックフェラー大学のYueZhenyu博士との共同研究により、軸索内のオートファジー(Axonalautophagy)の存在を見いだし、その重要性を小脳プルキンエ細胞特異的Atg7欠損マウスの解析により明らかにした。
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Research Products
(20 results)