2007 Fiscal Year Annual Research Report
YAC-TgMを用いた受精後メチル化インプリンティング成立・維持機構の解明
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18051003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷本 啓司 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (90261776)
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Keywords | エピジェネティクス / ゲノム刷り込み / Igf2-H19 / 酵母人工染色体 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
ゲノム刷り込みを受けるIgf2/H19遺伝子座では、由来する親の性特異的なICR(Imprinting Control Region)のメチル化状態(メチル化インプリンティング;MI)が各遺伝子の発現パターンを規定する。我々は、ヘテロな遺伝子座(ヒト・βグロビン遺伝子座)にICRを移植した酵母人工染色体(YAC)の遺伝子導入マウス(TgM)を作製・解析し、ICRDNA断片のみでゲノム刷り込みが再現されることを明らかにした。しかしながら、同系においては、導入ICRのMIは、精子生殖細胞中ではなく、受精後に両親からのゲノムが共存する環境下で起こることが示唆された。以上の結果から2つの疑問が生じた。 1)精子生殖細胞中でICRがMIを受けるために必要な条件は何なのか? 2)受精後メチル化刷り込みに必要なICR内のDNA情報の本体は何なのか? これらの疑問を解明するために、以下の実験を行った。 (i)CTCF結合配列欠損型ICR(constitutive negative CTCF binding site)をβグロビン遺伝子座内に持つYAC-TgMを作製し、ICRのメチル化状態を体細胞、精子・卵生殖細胞、初期胚において解析した。 (ii)同様の実験を、CpG motif欠損型ICR(constitutive active CTCF binding site)についても行った。 以上の結果から、CTCF結合配列が受精後メチル化刷り込みの確立、あるいは維持のどちらかに関与することが示された。 (iii)ICR DNA 断片のみを1コピーから複数コピー導入したTgMを作製し、精子生殖細胞内メチル化とCpG配列の数(頻度)との関係を明らかにすることを試みた。 この結果、ICRのコピー数が精子生殖細胞内メチル化に関する絶対的なシグナルとなっているわけではないことが示された。
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Research Products
(2 results)