2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞および初期胚特異的に見られるセントロメア領域のDNA低メチル化について
Project/Area Number |
18051004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山縣 一夫 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (10361312)
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Keywords | 生殖細胞 / DNAメチル化 / セントロメア / エピジェネティクス |
Research Abstract |
多細胞生物において生殖細胞は未来永劫自身の遺伝情報を連続させることの出来る唯一の細胞であり、その点明らかに他の体細胞とは異なった役割を持つ。現在では生殖細胞の特異性はエピジェネティックなゲノム修飾による生殖細胞特異的遺伝子発現に起因すると考えられているが、それを生みだすような必要十分のエピジェネティックな特徴はこれまでに見出されていない。申請者はこれまでにマウスの減数分裂前精細胞から成熟精子、卵子から着床前初期胚に至るまでの核においてセントロメア領域に存在する大規模なリピート配列が体細胞のものと比べて顕著に低メチル化状態であることを見出した(論文未発表)。この結果から生殖細胞および未分化細胞におけるセントロメア領域の低メチル化がそのクロマチン構造に大きな変化をもたらし、結果的に生殖系列で見られる遺伝子の発現に何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられる。そこでこの生殖細胞に見られるセントロメア領域のDNA低メチル化状態が生殖細胞の特異性にどのように関わっているのか?また、ひょっとするとそれこそが生殖細胞を規定するエピジェネティックメモリーとして機能している可能性があるのではないか?と考え研究を行っている。本年度は生殖細胞系譜中のさまざまな細胞にけるセントロメア領域のメチル化状態を解析した。その結果、始原生殖細胞ではE10.5からE13,5の生殖隆起に到達したあたりで大規模に脱メチル化されることがわかった。また、新生児精巣由来の生殖幹細胞についてもこの領域の低メチル化が確認されたことから、上記の仮説について俄然真実味が帯びてきたと考えている。
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