2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム再プログラム化へのヒストン変異体置換による大規模クロマチン再構成の関与
Project/Area Number |
18051006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 不学 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
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Keywords | 卵母細胞 / 着床前初期胚 / ヒストン変異体 / 再プログラム化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究計画は、「ゲノムの再プログラム化において、クロマチン上にマーキングされたピストン変異体が元のヒストンに戻されることが重要」という仮説に基づいたものであり、本年度はゲノム再プログラム化に際してのピストン変異体置換の解析を行った。すなわち、ゲノムの再プログラム化は減数分裂中、あるいは受精直後のいずれかの時期(あるいは両方)に起こると考えられことから、減数分裂期の卵および受精直後の初期胚について、ピストンH3の変異体であるH3.1、H3.2、そしてH3.3の核局在を調べた。 まず、これまでにH3.3のみを特異的に認識する抗体が報告されていたため、この抗体を用いた免疫染色法を試みた。しかし、特異的な反応は見られず、この原因としてヒストンH3の変異体は互いに非常に類似しているアミノ酸配列を持つことによることが考えられた。このことは事前に懸念されていたことであるが、何故他の動物種の細胞でこれまでに特異的な反応があったとの報告があり、一方哺乳類の卵で同様の結果が得られないのか、その原因は不明である。 そこで、Flagタグの付いたヒストン変異体タンパク質の導入による解析を行うこととした。すなわち、Flagタグの付いたH3.1、H3.2、そしてH3.3のmRNAを合成し、これを卵あるいは初期胚に顕微注入しその後の蛋白質の局在を解析するという手法である。まず、H3.3に関して試みたところ、GV期卵では核内にFlagのシグナルが得られ、このシグナルは受精直前まで維持されていた。ところが、受精直後に急激にシグナルの消失が見られた。この結果は受精直後に大規模なヒストン変異体置換が起こっていることを示唆しており、これが遺伝子発現の再プログラム化に関わっている可能性がある。
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Research Products
(5 results)