2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞のインプリンティングおよび減数分裂におけるHP1γの機能解明
Project/Area Number |
18051008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 雅秀 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 智恵 金沢大学, 学際科学実験センター, 助手 (30372486)
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Keywords | 生殖細胞 / エピジェネティックス / インプリンティング / 遺伝子改変マウス / 不妊 |
Research Abstract |
遺伝子トラップ法で単離したHP1γ変異マウスの解析を行った。このマウスは出生直後にかなりの割合が死亡し,一部生存するマウスは雌雄共に不妊であることが昨年までにわかっていた。不妊の原因を明らかにするために,発生の各段階の精巣と卵巣の組織切片を観察したところ,減数分裂期の生殖細胞分化に異常があることが示唆された。そこで,減数分裂期の染色体の形状を解析したところ,雌雄共にザイゴテン期までに異常が生じ,パキテン期以降の生殖細胞はほとんど形成されないことが明らかとなった。HP1γはピストンH3のメチル化された9番目のリジン(H3K9)に結合して転写を抑制する機能があると言われているが,HP1γ変異マウスでは減数分裂期の生殖細胞においてH3K9のメチル化が低下しており,一部のインプリンティング遺伝子のDNAメチル化も低レベルであることがわかった。HP1γはエピジェネティック制御を介して減数分裂に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 一方,胎生後期の生殖巣での生殖組胞の数がすでに少ないことが分かり,発生過程を遡って始原生殖細胞(PGC)の数をカウントしたところ,胎生7.5日のPGCが出現する時期から,HP1γ変異胚ではすでにPGCの数が半数であった。HP1γはPGCの形成と維持にも重要な働きをしていることがわかってきた。19年度はPGCの形成と維持並びに減数分裂におけるHP1γの機能を分子的に明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(8 results)