2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化を介した、精巣幹細胞から前駆細胞への運命決定制御機構の解析
Project/Area Number |
18051014
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大保 和之 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (70250751)
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Keywords | 細胞・組織 / 解剖学 / 発生分化 / 幹細胞 / クロマチン |
Research Abstract |
これまで細胞の分化制御機構の解析は、幹細胞特異的分子や前駆細胞特異的分子を想定し、これを同定し解析することが中心に行なわれてきた。しかしながら、幹細胞、前駆細胞における遺伝子発現が明確に分かれるような分子はなかなか見つかってこない。このことから、細胞分化の運命決定制御機構は、特定のマスター遺伝子によって制御されているという考えに加え、もつとグローバルなクロマチン構造を変換させる事により、同時多発的な遺伝子発現制御機構が働いているのではないかと考えた。そこで精巣の幹細胞、前駆細胞それぞれ特異的なクロマチン構造があり、それが変化する事と細胞分化が密接に関連しているのではないかと推測し以下の研究を行なった。 これまで報告して来たDNAのメチル化を介した細胞分化に加え、今年度はヒストン修飾を重ね合わせ検討を加えた。精巣における組織幹細胞であるKit陰性精原細胞は、ユークロマチン状態を反映する修飾に富み、またポリコム遺伝子群が介在する修飾を受けているが、ヘテロクロマチン状態を反映する修飾に乏しい。このことから、Kit陰性精原細胞の遺伝子発現抑制は、ポリコム分子が中心となって行なっていることが推測された。一方Kit陽性精原細胞への移行に伴い、H3K9を中心とする修飾が加わることが今回の解析で判った。このことは、H3K9を介する遺伝子抑制系が、前駆細胞レベルで起こり、より強固、かつ、不可逆的な遺伝子発現抑制ももたらしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)