2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18051015
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
角川 裕造 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 准教授 (00261199)
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Keywords | 精祖幹細胞 / E-cadherin / 未分化型精祖細胞 / 細胞表面マーカー分子 / 細胞選別 / 移植 / 分化型精祖細胞 / c-Kit |
Research Abstract |
精子形成を司る精子幹細胞は未分化型精祖細胞の中に含まれていると考えられているが、これまで未分化型精祖細胞を識別できる細胞表面マーカーが見つかっていなかった。われわれは未分化型精祖細胞でE-cadherin(CDH1)が特異的に発現していることを発見し、この抗体を用いた免疫組織化学を行うことによって未分化型精祖細胞のAs, Apr, Aalの分類が精確にできることを示した。さらに抗体を用いてE-cadherin陽性細胞を選別し、他のマウス精巣への移植を行うことによって、精祖幹細胞活性はE-cadherin陽性細胞にのみ存在することを明らかにした。 これまではAsが唯一の幹細胞であるとする説が有力であったが、幹細胞マーカーとされていたOct4,c-Ret,GFRα-1,PlzfなどとE-cadherinの2重染色を行ったところ、これらのマーカーは全て未分化型精祖細胞の一部で発現がみられるもののその発現様式はそれぞれに異なっており、Oct4はAsでは発現がほとんど見られないが、Apr, Aalでは強く発現していた。GDNFの受容体であるc-Ret,GFRα-1はAs, AprとAalの一部でのみ発現が見られ、さらにPlzfに至ってはAs, Apr, Aal中の約3割の細胞でモザイク状に発現していることを見出した。これらの結果はこれらのマーカーがいずれも幹細胞マーカーたり得ないことを示している。また分化型精祖細胞のマーカーであるc-KitとE-cadherinの2重染色を行ったところ、精細管上皮細胞の分化ステージVIIからVIIIにおいて、AprやAalの細胞では、E-cadherinの発現が減少すると共にc-Kitの発現が始まることを見出した。ところがこのような細胞集団の中に、c-Kit陽性にならない細胞がモザイク的に少数存在していることを発見した。また精祖細胞のマーカーとして知られるEp-CAMは精祖細胞が分化型へ移行する際に発現レベルが高まるが、その発現についても同様の現象が起きていることを見出した。これらの観察結果は、As以外にもAprやAalの中に分化型精祖細胞に分化せずに再び未分化型精祖細胞として増殖を繰り返し、幹細胞として機能している細胞が一部存在している可能性を示唆している。
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