2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18051015
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
角川 裕造 Fujita Health University, 医学部, 准教授 (00261199)
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Keywords | E-cadherin / 幹細胞 / 未分化型精原細胞 / 精子形成 / 移植 / whole-mount抗体染色 / NZF3 / Ngn3 |
Research Abstract |
精子を作り出す幹細胞については、未だに幹細胞を特定できるマーカーが見つかっでいないため、はっきりと同定できていない。われわれは未分化型精原細胞でE-cadherinが特異的に発現していることを見いだした。これまで様々なマーカー分子の抗体を用いて、精原細胞の中から精原幹細胞を分離する試みが行われてきたが、移植実験の結果からE-cadherin陽性細胞は、幹細胞活性を含む最も小さな細胞集団であることが明らかになった。そこで、E-cadherin陽性である未分化型精原細胞の集団の中から、真の幹細胞を見いだすために、さらにさまざまなマーカー分子との多重染色を行った。その結果、これまでは均質であると考えられてきた、Apr, Aa1とよばれている未分化型精原細胞の細胞集団が、実はさまざまなマーカー分子をモザイク的に発現している、ヘテロな細胞集団であることが明らかとなった。さらにわれわれは、whole-mountの精細管をE-cadherin抗体で染色することによって、単独で存在している未分化型精原細胞であるAsの分布を調べたり、BrdU取込み実験などを行ってきた。これまではAsこそが唯一の精子幹細胞である、とする考えが広く受け入れられてきたが、われわれの実験結果はAs以外のApr、 Aa1などの未分化型精原細胞の中にも、幹細胞活性が存在することを示唆するものであった。 またE-cadherinの他にも、NZF3とよばれるZnフィンガーモチーフを持つ転写因子が、未分化型精原細胞で発現していることを、NZF3ノックインマウス作製の過程でわれわれは見つけ出した。NZF3はNgn2,3などと共に神経分化に働く転写因子として知られているが、一方のNgn3は未分化型精原細胞のマーカーとしてもすでに報告されており、これらの転写因子が幹細胞活性の維持にどのような働きをしているのか興味が持たれる。
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