2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18051016
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
蓬田 健太郎 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90283803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 智 熊本大学, 発生医学研究センター, 講師 (00227109)
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Keywords | 生殖幹細胞 / 遺伝子修復 / 老化 / 精子形成 / 翻訳制御 / Rad18 / c-kit / Kit-ligand |
Research Abstract |
これまでに生殖幹細胞には、転写因子Oct-3/4の発現の有無により2つの細胞集団に分類されることを明らかにしてきたが、表面マーカーとしてE-cadherinを用いることにより、Oct-3/4(-)の細胞集団は、分化型と未分化型の2つのタイプのc-kitを持ち、分化の過程に一時的に出現することを突き止めた。この集団は、外的には分泌型と膜型の2種類のKit-ligandのどちらと反応するかにより自己保存と分化の運命決定がなされる。つまり、Oct-3/4のON/OFFの内的な制御により分化への運命決定が開始すると考えられる。そこで、現在この2つの集団の遺伝子プロファイルの解析を行っており、分化制御に関わる分子の同定を進めることとしている。 一方、遺伝子修復因子の1つであるRad18はこれまでに蛋白質として精母細胞に発現していることが報告されていたが、生殖幹細胞ではmRNAレベルで強く発現していることを突き止めた。Rad18は、遺伝子損傷が生じるとすでに転写されていたmRNAから翻訳制御されて修復に寄与することが知られている。このことは、幹細胞の品質保証にRad18が関わっていることを強く示唆している。このRad18のノックアウトマウスを作製したところ、精母細胞における異常はとくに認められず正常な精子形成を示すことが明らかとなった。しかし、世代を経るにしたがって加齢に伴い幹細胞の欠落した精細管が増加することが明らかとなった。これは、幹細胞における遺伝子損傷が世代とともに蓄積し、幹細胞がアポトーシスにより減少するものと考えられる。これは、加齢減少により組織の萎縮が見られる現象と類似している。つまり、本系は幹細胞の品質保証機構と老化との関連性の解析モデルとして利用可能であると期待されるものである。現在、幹細胞に薬剤等で人為的に遺伝子損傷を起こし、幹細胞数にどのような影響を与えるかについての検証を進めている。
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