2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ精原幹細胞の増殖因子の単離とその培養系の確立
Project/Area Number |
18051017
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
酒井 則良 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教授 (50202081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新屋 みのり 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (00372946)
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Keywords | 精原幹細胞 / 精子形成 / 細胞培養 / ゼブラフィッシュ / 生殖細胞 / セルトリ細胞 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュの新規セルトリ細胞株ZtA6-6はフォルスコリン存在下で魚類の精原幹細胞とされるA型精原細胞を1ヶ月維持する。本課題では、この培養系を足がかりに長期にわたりゼブラフィッシュ精原幹細胞を増殖させる培養系の確立を目的とした。すでにマウスでは精原幹細胞の増殖にglial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF)が必須であり、繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子(IGF)も有効であることが報告されている。そこでこれらの因子がA型精原細胞の増殖に与える役割を解析するために、ゼブラフィッシュの相同遺伝子を単離して組換えタンパク質を作製した。GDNFが作製できた段階で、vasプロモーターにより緑色蛍光タンパク(GFP)を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュから肥大化した精巣が見つかったため、この精巣の細胞を解離してGDNFおよび市販の哺乳類の増殖因子を添加した培養液で培養を試みた。その結果、セルトリ細胞株を用いなくても、解離した精巣体細胞が培養ディッシュに接着して、それがフィーダーとなりA型精原細胞が安定して増殖することが認められた。精原細胞のマーカーのvasを発現し続けていたこと、ゼブラフィッシュで精原幹細胞から精子までが1ヶ月以内であることを考えると、幹細胞の増殖は起こっていたことが示唆される。しかし、3か月を過ぎた段階で急速に増殖しなくなり、継代できなくなってしまった。培養の間に体細胞の形態的変化が認められ、幹細胞を維持する体細胞の性質が変わってしまったことが増殖しなくなった原因として考えられる。現在、精原幹細胞を維持し続ける体細胞のスクリーニングを進めているところである。
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