2006 Fiscal Year Annual Research Report
CDKインヒビターp21の脂肪細胞分化、肥大化における役割の検討
Project/Area Number |
18052001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島野 仁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (20251241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 博仁 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (30312846)
松坂 賢 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助手 (70400679)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 肥満 / 脂肪細胞 / 脂肪分化 / 細胞周期 / cdkインヒビター / p21 |
Research Abstract |
我々は、以前よりエネルギー代謝と細胞周期制御因子p21の関連について研究を進めてきた。本研究ではp21の脂肪細胞正常分化における生理的役割、脂肪細胞の肥大化における病的役割を明らかにしその分子的基盤を解明する事により、細胞周期制御因子の脂肪分化、肥満、インスリン抵抗性病態への関与を解明することとする。 1.3T3L1細胞の脂肪分化におけるp21の作用を検討した。 3T3L1細胞の脂肪分化の初期にp21の発現,タンパクレベルでの誘導を認める。p21のRNAiを用いてノックダウンした3T3L1細胞の脂肪分化の変化を観察した。分化誘導6日目にオイルレッドO染色を行い脂肪細胞分化及び脂質の蓄積を評価したところp21遺伝子抑制群においては脂肪細胞分化及び脂質の蓄積が抑制されていた。また、脂肪細胞分化マーカーであるPPARγ、C/EBPα等はp21遺伝子抑制効果に伴い減少し、脂肪細胞分化初期に発現が亢進するC/EBPβがp21遺伝子抑制に伴い上昇していた。これらのことからp21遺伝子を抑制することにより脂肪細胞分化が抑制されp21は脂肪細胞分化に重要な役割を持つと考えられた。 2.生体におけるp21と肥満の関係について検討した。 C57BL6マウスでは、高脂肪食により肥満を惹起させると肥大した脂肪組織ではp21の発現が上昇している。p21ノックアウトマウスに高脂肪食負荷したところ、体重の増加,肥満の誘導が軽減され、糖負荷試験やインスリン負荷試験において正常で認めるインスリン抵抗性が、著明に改善した。以上よりp21遺伝子は脂肪細胞分化や肥満の形成において重要な役割を担っていると考えられる。脂肪細胞におけるp21遺伝子の役割を解明することは脂肪細胞分化及び増殖・肥大化に伴う肥満症の解明に有用と考えられ、肥満のメカニズムの新たな可能性を示唆するものと考えられ検討中である。
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Research Products
(7 results)