2006 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチンの作用機序解明:新しい受容体の同定と結合蛋白の網羅的解析
Project/Area Number |
18052011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00294083)
冨山 佳昭 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80252667)
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Keywords | 脂肪細胞 / エピトープ / Cox-2 / クローニング / ケモカイン / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
アディポネクチンは脂肪細胞特異的に産生・分泌される分子であり、糖尿病や動脈硬化の発症予防に関与するだけでなく炎症反応を抑制することが知られている。抗アディポネクチン抗体ANOC9104は種々のアディポネクチンによる作用を阻害することが知られており、アディポネクチンの生理活性部位を決定することを目的としてそれら抗体のepitope mappingを行った。結果、(1)ANOC9104がアディポネクチンのN末端領域(non-homology domain)を認識すること (2)ANOC9104エピトープに一致するペプチドがアディポネクチンによるCox-2遺伝子発現誘導やプロスタグランディン産生誘導を阻害すること (3)N端領域を欠損したアディポネクチンの血小板凝集抑制作用や脂肪肝発症抑制作用が減弱していること、を明らかにした。これらの事実から、アディポネクチンN末端領域を認識しCox-2遺伝子発現誘導に関わるシグナルを惹起する未知のアディポネクチン受容体が存在することが考えられた。 アディポネクチンは種々の分泌蛋白とも結合し、それらの機能を修飾することも知られている。Signal sequence trap法を改良した申請者独自の2段階発現クローニングを行ない、アディポネクチンと結合する分泌蛋白や膜蛋白の網羅的解析を行った。結果、新しいアディポネクチン結合蛋白として2つのケモカイン(SDF-1とCCF18)を同定した。アディポネクチンは、これらケモカインの受容体結合には影響を及ぼさないが、ヘパリンとの結合を抑制することも明らかとなった。ケモカインは白血球遊走など炎症反応に必須の分子であることから、アディポネクチンの抗炎症作用に関わる1つの作用メカニズムであると考えられた。
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Research Products
(5 results)