2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム発症における脂肪細胞特異的な体内時計機能の破綻
Project/Area Number |
18052018
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
榛葉 繁紀 日本大学, 薬学部, 助教授 (20287668)
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Keywords | 脂肪細胞 / 体内時計 / BMAL1 |
Research Abstract |
体内時計調節因子であるBrain-Muscle Arnt Like Protein 1 (BMAL1)は明期に低く暗期に高い発現を示す転写因子である。我々はBMAL1が脂肪組織に高く発現しており、高脂肪食により脂肪細胞特異的にその発現が増加すること、さらにはBMAL1が脂肪細胞分化を制御することを明らかにした。そこで明期ならびに暗期のそれぞれにおけるBMAL1の脂肪細胞機能調節における役割を明らかにする目的でBMAL1ノックアウト(KO)を作製し、その解析を試みた。BMAL1 KOマウスは、野生型マウスに比較して低体重を示した。各臓器重量を比較したところBMAL1 KOマウスにおける精巣上体ならびに皮下における脂肪組織量が顕著に減少していた。このような組織重量の減少は他の組織においては軽微であるか、もしくは観察されなかった。さらには血液生化学検査においてBMAL1 KOマウスは、野生型マウスに比較して高い血中遊離脂肪酸量を示した。これらの結果より脂肪組織におけるBMAL1機能の重要性が示された。脂肪細胞機能のひとつにアディポサイトカイン類の産生・分泌が挙げられる。アディポサイトカイン類の量的バランスがメタボリックシンドローム発症に強く関わることから、アディポサイトカイン類の発現におけるBMAL1の役割を検討した。その結果、BMAL1がNF-κBの発現調節を介してアディポサイトカイン、特にMCP-1の発現に影響を与えることを明らかにした。このようにBMAL1により制御される体内時計のかく乱は、メタボリックシンドローム様症状の発症につながると考えられ、生活習慣とメタボリックシンドローム発症とを結ぶ分子メカニズムの一端が明らかにされた。現在上記の減少を遺伝子発現レベルで検討すると共に脂肪細胞特異的にBMAL1を欠損したマウスを用いてさらに詳細な検討を行っている。
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Research Products
(6 results)