2006 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム観察法を駆使した神経細胞傷害によるグリア細胞活性化機構の解明
Project/Area Number |
18053002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 北海道大学, 大学院薬学研究院, 教授 (20243040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 貴博 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助手 (90399957)
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Keywords | ミクログリア / リアルタイムイメージング / 脳組織障害 / 神経細胞死 / グリア細胞 / ATP / P2プリン受容体 / 脳スライス培養 |
Research Abstract |
本研究では、脳組織に傷害を与えたときに生じるミクログリアの形態変化について、その調節機構を明らかにすることを目的として脳スライス培養系を用いた検討を行った。Iba1-EGFPトランスジェニックマウス(本特定領域研究班の高坂新一先生より供与を受けた)より培養海馬スライスを作製し、共焦点顕微鏡観察下にレーザー照射により組織傷害を与えると、傷害直後からミクログリアは急速に傷害部位に向かって突起を伸長させ、この突起伸長は30分程度で収束した。P2プリン受容体の阻害薬であるReactive Blue2およびATP分解酵素であるapyraseの効果を検討したところ、これらの薬物はいずれもミクログリア突起伸長を有意に抑制したことから、組織傷害によって細胞外へと漏出したATPが、ミクログリア突起伸長を惹起することが示唆された。次に、培養海馬スライスを用いて、NMDAによる神経細胞傷害により惹起される錐体細胞層でのミクログリア集積における内在性ATPの役割を検討した。NMDAによる神経細胞傷害により、傷害後3〜6日において錐体細胞層へのミクログリア集積が観察された。ATP分解酵素であるapyraseの効果を検討したところ、本薬物の処置は錐体細胞層へのミクログリア集積に影響を及ぼさなかった。以上の結果より、組織傷害急性期のミクログリア突起伸長にはATPが関与するが、傷害後3〜6日かけて起こる錐体細胞層へのミクログリア集積にはATPは関与しないことが示された。
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Research Products
(3 results)