2007 Fiscal Year Annual Research Report
グリア-ニューロン間におけるD型セリンの分子機構解明
Project/Area Number |
18053004
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 Chiba University, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 教授 (20208523)
|
Keywords | D型アミノ酸 / D型セリン / NMDA受容体 / D型アミノ酸分解酵素 / 脳内透析法 / 驚愕反応 / 統合失調症 |
Research Abstract |
NMDA受容体を介するグルタミン酸神経伝達の異常は、統合失調症などの精神疾患の病態に関与していることが示唆されていることよりNMDA受容体拮抗薬MK-801は、統合失調症の動物モデルとして頻繁に使用されている。MK-801の投与はマウスにおいて驚愕反応に対する異常を引き起こすことが知られていることより、MK-801投与によるプレパルス抑制障害モデルは新規非定型抗精神病薬の開発に有用であると思われる。一方、D型セリンはNMDA受容体のグリシン結合部位に作用する内在性調節分子であり、以前我々は統合失調症患者の血清中D型セリン濃度が健常者と比較して減少していることを報告した。D型セリンは主にグリア細胞で合成され、ニューロンに存在するNMDA受容体に作用することが知られている。 またD型セリンは抹消から投与した場合、抹消臓器での分解などから脳内移行には多量のD型セリンが必要である。D型セリンはD型アミノ酸分解酵素(DAO)によって分解されることが知られているので、DAO阻害薬と併用投与することにより、D型セリンの投与量を軽減することが出来るのではと考え、DAO阻害薬とD型セリンの併用投与は、D型セリン単独投与と比較して、有意にMK-801投与によるプレパルス抑制障害モデルを改善した。さらに脳内透析法を用いてDAO阻害薬の併用による脳内D型セリン濃度を測定した。その結果、DAO阻害薬併用により、脳内D型セリン濃度が有意に高くなることを見出した。 以上の結果より、DAO阻害薬とD型セリンの併用投与は統合失調症の新しい治療法として有用である可能性が示唆された。
|
Research Products
(5 results)