2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラジアルグリア/アストロサイト特異的アミノ酸代謝酵素異常による神経疾患の病態解明
Project/Area Number |
18053007
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎戸 靖 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90263326)
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Keywords | アストロサイト / ホモシステイン / 神経幹細胞 / ニューロン / うつ病 / 精神発達遅延 |
Research Abstract |
精神発達遅延を伴うホモシスチン尿症の原因遺伝子であり、ラジアルダリア/アストロサイト系譜細胞で特異的な発現を示すシスタチオニンβシンターゼ(CBS)の脳神経系での働きについて解析を行っている。 (1)昨年度から本年度にかけ、ダウン症候群患者やてんかん発作後のマウス脳において、CBSが反応性アストロサイト特異的に発現上昇していることを報告した。これらの結果は、CBSが反応性アストロサイトを介した神経保護作用に重要な役割を演じていることを示唆するものであり、現在アストロサイト特異的CBS過剰発現マウスを作成し、これらが脳虚血やてんかん、神経疾患モデルマウスとの交配によりどの様な応答を示すか解析を進めている。 (2)脳内アミノ酸代謝にCBSの異常がどのような影響を与えるかに注目し、CBS欠損マウス脳における神経伝達物質の定量を行った。既に我々はCBS欠損マウスでは、脳内D-セリンの含量が有意に低下していることを観察しているが、今回これらの結果に加え、脳内グリシン濃度が顕著に上昇していることを明らかにした。D-セリンやグリシンの脳内含量の変化は、NMDA型グルタミン酸受容体の活性に影響するとともに、うつ病に代表される精神疾患等にも深く関わっていることが知られている。現在、アストロサイトにおけるこれらアミノ酸の合成/分解酵素の発現および活性について解析を行っている。 以上の結果は、これまでほとんど知られていなかったアストロサイトにおけるアミノ酸代謝の重要性およびそれらの破綻によって生じるアストロサイト病の病態の解明にとって重要な手がかりになることが期待される。
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Research Products
(2 results)