2006 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイト・オリゴデンドロサイト関連遺伝子を標的とした精神病性障害の病態研究
Project/Area Number |
18053011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾崎 紀夫 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40281480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 契造 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (60323151)
澤田 誠 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (10187297)
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Keywords | 統合失調症 / 双極性障害 / 覚醒剤使用障害 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / ゲノム |
Research Abstract |
・背景 統合失調症の病態にはシナプス連絡の障害が関与しており、その結果として認知機能障害が生じると考えられる。実際、シナプス連絡形成で中心的働きを果たすミエリン関連タンパクの異常が、統合失調症死後脳による網羅的発現解析で確認されている。さらに、白質病変の描出に優れるMRIのDTI画像所見でも統合失調症のミエリン異常が示唆されている。 ・対象と方法 DSM-IVTRにより統合失調症と診断された患者915名および健常対照者927名を対象とした.Hap Mapデータベースよりtagging SNPsを選出し,SOX10,MOG, TF, CNP, OLIG2,ERBB3の遺伝子多型を決定した.40名の健常者を対象にn-Back test, Wisconsin Card Sorting Test, Continuous Performance Testを行い,脳MRI-DTIデータを撮像した。なお,本研究は名古屋大学医学部倫理委員会において承認され,全対象者から文書同意を得て行われた. ・結果 SOX10のイントロン領域に存在するSNP、およびMOGの3‘UTR領域に存在するVNTR多型と統合失調症との間に強い関連が見られた。SOX10のSNPと脳梁後部のFA値の間に関連が見られた。TF、CNP、OLIG2、ERBB3の各遺伝子と統合失調症には関連は見られなかった。また、これまでCaucasianで強い関連が示唆されているCNPとOLIG2に関しては遺伝子-遺伝子相互作用を考慮した解析も実行したが、統合失調症との関連は見られなかった。 ・考察 今回の大規模遺伝子関連研究により日本人統合失調症患者の病態生理には欧米人種とは異なるミエリン関連タンパク遺伝子が関与していることが示唆された。
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Research Products
(12 results)