2007 Fiscal Year Annual Research Report
ATPおよびニコチンによるミクログリアの機能調節と神経保護作用発揮の分子機構
Project/Area Number |
18053017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
仲田 義啓 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40133152)
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Keywords | ミクログリア / ATP / 神経保護 / TNF / P2X_7受容 / NO |
Research Abstract |
ミクログリアにはさまざまな神経伝達物質の受容体が発現し、その細胞機能を厳密に制御すると考えられる。 これまでにミクロクリアに発現するα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7受容体)は、神経に発現するイオンチャネル型α7受容体とは異なりsrc-familyチロシンキナーゼおよびPLC活性化とIP_3産生を介して細胞内Ca^2+ストアからのCa^2+放出を引き起すことを報告してきた。今回、ミクロクリアのα7受容体のcDNA配列をRT-PCRにより検討した結果、神経に発現するα7受容体と同一であることが示され、神経とミクロクリアにおけるα7受容体のシグナル特性の違いは受容体の構造上の違いによるものではなかった。現在、α7受容体とミクロクリアに特異的に多く発現するsrc-familyチロシンキナーゼLyとの相互作用について解析を進めている。またα7受容体は細胞膜と細胞内部の器官に発現すが、細胞膜非透過性のアセチルコリンにもニコチンと同様の作用が認められたことから、ニコチンの作用は細胞膜受容体を介することと考えられた。ニコチンによるα7受容体刺激はLPS誘発TNF遊離(炎症性)を抑制する一方、ATP刺激によるTNF遊離(神経保護的)に対しては促進効果を示す。前者の効果はMAPK(p38, JNK)活性化の抑制に基づくが、MAPK活性化の上流シグナルを抑制するのか、MAPK不活性化(脱リン酸化を担うMAPKホスファターゼ(MKP)の発現促進)を介するのか、検討を行っている。結果は、ニコチンがなぜATPとLPS刺激に対して相反する作用を示すのか、そのメカニズムの解明にも繋がると期待される。
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