2006 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞系譜の多様性の解析-回路網に特異的なグリア細胞サブクラスは存在するか
Project/Area Number |
18053018
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鹿川 哲史 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (50270484)
|
Keywords | 細胞分裂 / 細胞分化 / ニューロン / アストロサイト / 神経上皮細胞 / FGF2 / GSK3β / βカテニン |
Research Abstract |
ニューロンとグリア細胞の共通の前駆細胞である神経上皮細胞は、細胞外来性因子によって様々に領域化されている。昨年までの班会議で、我々は神経上皮細胞の腹側領域特異性を誘導しグリア細胞系譜の分化運命をオリゴデンドロサイト系譜へ誘引する因子として新たにFGF2を報告した。FGF受容体以降の細胞内シグナル経路についてさらに研究を進めた。FGF2刺激した神経上皮細胞ではPI_3K→Akt経路が活性化され、GSK3βの不活化が検出された。GSK3βの不括化により分解をのがれ核内に蓄積したβカテニンはTCFファミリー転写因子のコファクターとして細胞周期調節因子サイクリンD1遺伝子の発現を促進した。サイクリンD1がアストロサイト分化に必須なSTAT3の活性を抑制したことから、この一連の経路がFGF2によるグリア細胞系譜の分化運命付けの一因であると考察された。さて、一般にFGF2には神経上皮細胞の未分化性維持作用とりわけニューロン分化阻害活性があるためニューロスフェア培養などに広く用いられている。今回は我々がこれまでに明らかにしてきたβカテニンに至るFGFシグナル経路がニューロン分化も調節することを報告する。すなわち、核内βカテニンはTCFファミリー転写因子のコファクターとしてのみでなく、Notch1細胞内ドメイン/RBP-Jκ転写因子複合体のコファクターとして働きニューロン分化抑制因子であるHes1およびHes5の遺伝子プロモーター活性を増強することを示す。神経上皮細胞の増殖と未分化性維持を連動させるFGF2シグナル経路の新しいモデルを提唱する。
|
Research Products
(1 results)