2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリア亜種が示す異なった神経保護作用:細胞系譜の解析と疾患治療への応用
Project/Area Number |
18053019
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 仁 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70088863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 明彦 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (90241348)
川原 浩一 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (10347015)
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Keywords | ミクログリアサブタイプ / アルツハイマー病 / 病態モデルマウス / Aβクリアランス / 抗炎症性サイトカイン / 単クローン抗体 / 細胞系譜 |
Research Abstract |
脳機能の本質的理解には「グリアーニューロン回路網」の認識が不可欠であるが、その中でも我々はミクログリア(μG)の役割に注目する。従来、μGは脳炎症時に活性化され、proinflammatryに作用すると捉えられがちであったが、最近の我々の知見から、[i]神経傷害的か保護的となるかは条件によって異なり、[ii]その機能の違いには、少なくとも2群に分けられるμG亜集団(サブタイプ)が深く関わることが分かってきた。これをふまえ、本研究ではサブタイプの適切な活性化によってμGの神経細胞保護機能を最大限に活用する方策と、ミクログリアサブタイプを識別する抗体を活用した解析に取り組んだ。本年度得た成果を以下に述べる。 1.IL-4誘導性新規Aβクリアランス機能のin vivoでの検証:IL-4で活性化されたtype-2μGによるAβオリゴマーの選択的クリアランスがin vivoでも認められるか、ADモデル動物の一つAPP23マウスを用いて調べた。その結果、サイトカインの脳内微量注入によって記憶学習能(モリス水迷路試験)の改善が認められたAPP23マウスでは、Aβの脳内蓄積の減少と相関することがわかった。この効果はAβが中程度に蓄積したマウスで顕著であることからも、このクリアランスがオリゴマー状Aβに選択性を持つとのこれまでの観察と合致する。ある種の低分子化合物がこのAβクリアランス能を誘導しうるとの興味深い知見も得た(特許申請準備中)。 2.Type-1,2μGを識別する単クローン抗体の応用による新知見:昨年度作製したtype-1とtype-2μGを識別できる単クローン抗体9F5を活用し、ラット脳の発生期、成長段階と9F5およびIba-1陽性細胞の出現の解析から、ミクログリアの細胞系譜と関連すると考えられる興味深い知見を得た。更なる解析を進める。
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Research Products
(3 results)